人々から作りあげられる浮世絵版画の技術力と魅力
海外のコレクターが、日本の骨董というと声を揃えて根付・浮世絵といいますが、歴史的に有名な画家達も浮世絵をこよなく愛したと言う話を聞きます。
ひまわりの油絵で有名な画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853年~1890年)も浮世絵に魅了されたコレクターの一人です。
彼の蒐集した浮世絵は約500点にも及び彼の作品にも浮世絵を模写して描かれた作品が多数残っております。(模写作品)
もう一人のコレクターはクロード・モネが浮世絵を愛した画家として有名です。
モネは、晩年を過ごしたパリ郊外にあるジヴェルニーの家に『睡蓮』の舞台としても有名な庭をつくっています。
彼も浮世絵を引用して作りあげられた作品(ボストン美術館所蔵のラ・ジャポネーズ)はとても有名でその作品は日本にも来日して沢山の人々に感動を与えています。
ちなみに今度ゴッホ展が開催されるのでその時浮世絵を描いた作品に出逢えるかも知れませんね。
ゴッホ展 http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=913189
さて、そんな名画にも描かれている浮世絵のすごさをちょっとご紹介致します。
浮世絵とは一体何でしょうか?
浮世絵(うきよえ)とは、江戸時代に成立した絵画のジャンルのひとつ。大和絵の流れを汲み、総合的絵画様式としての文化的背景を保つ一方で、当代の風俗を描く風俗画でその題材は、美人画、役者絵、芝居絵、名所絵、春画といったものから多岐にわたる。現代において一般的には多色摺りの木版画錦絵のことを指すことが多いが、木版画の採用以前は量産できず、肉筆浮世絵しかなかった。はっきりした図柄と大胆な構図、影の表現を持たないこと等が表現上の特徴である。遠近法も取り入れられた。遠景の人物を逆に大きく描く北斎の「釣の名人」のように、意図的に遠近をずらされたものもある。また絵師による誇張や意図などを考慮する必要はあるが、描かれている風景や現在では変化・消失した名所、人々の生活や生業、文化などを伝える歴史資料としても活用されている。
肉筆画は一点ものであり、名のある絵師によるものは高価であった。これに対して木版画は、同じ絵柄のものを多く摺り上げることができ安価で、当時の江戸時代の一般大衆もたやすく求められた。
出典=https://ja.wikipedia.org/wiki/浮世絵
一見シンプルな作品に見えますが…
まずは、こちらの作品を見て下さい、
この作品は菊川英泉の美人画浮世絵です。
一見シンプルですが、この作品一色ごとに版木を作って一枚の作品を造り上げるまでに何度も刷りあげ一つの作品を造り上げています、よく見て下さい作品の中には様々な技法が使われていることに気づきませんか?
彫師のピークは40代?
浮世絵の技術のすごさはその繊細さと多色刷りからなる色の鮮やかさ・構図を描く浮世絵師の斬新さ等、様々な要素が重なり初めてその作品が出来上がります。そんな作品の見所の一つ、髪の毛の生え際をご覧下さい。1ミリに満たない毛が緻密に摺られています。版木を削りこの細さまで欠けずに残す繊細さを再現する技術力と道具・極限まで細くした線を見分ける目の良さを持つ彫師すばらしさに驚愕します。
江戸時代活躍した彫師のピークは40代とされています。当時の技術継承や若すぎると彫りの技術力が伴わず、歳を重ねると目がついてこなくなる。繊細な作品を作りあげられるのはごく短い期間かもしれません。(※諸説有りますが)
作品を違う楽しみ方をしてみては?
皆さんもただ浮世絵といった見方で無く、浮世絵師の遊び心・版木の彫師・浮世絵の摺師の再現力・技術力を感じながら作品に目を向けてみたらよりいっそう楽しめるのではないでしょうか?