作家物の評価ってどうやって決めているのでしょうか?
皆様のお宅にも旅行のお土産として湯呑みやコーヒーカップ・お皿や小鉢等の焼物(陶磁器)を買ってきてそのまま箱にしまいっぱなしになってしまった物や、茶箪笥や食器棚に入れて全然使わない品物は無いでしょうか?
ご自身で購入したものなら価格の目安もつきますが、ご家族が購入した品物ですと、全くどういうものかわからないという声をよく伺います。
今回は、そういった陶磁器類を整理したいと思った時に役立つ、簡単な作家物の評価基準をご紹介させて頂きます。
1.まずは箱をチェックしてみてください
作家物やメーカー作品の簡単な見分け方として、箱の作りをご覧になってください。
①写真の箱は薄いベニヤ板を使って作られています。薄いため接着剤だけで留めています。
②こちらの箱は板の厚みもあり竹の釘を使って側面部をしっかりと留めてありますね。人間国宝の作家をはじめ著名な作家は、大切な作品を守る物ですので、職人が作った丈夫な箱を使用しています。
上記の通り著名な作家になれば支度(箱や布)にもこだわりをもっているようです。もちろん買取評価をする時も箱や共布(落款などが押された布)の有無で変わって来ますのでなくさないように心がけてください。
2.次に作家のランクを調べる事が重要です。
次に評価の基準を決める上でとても重要な点として制作者(作家)にもランクがあると言う事を知る事が重要です!!
と言っても一般の方が調べる事は難点だと思われるかも知れませんが、大まかなランクでしたら実は可能なのです。これは業者さんも参考にしている方も多いと思います。これは一年ごとに作家の評価基準額を掲載している美術品の年鑑を参考にしてご自身がお持ちの作品を制作した作家の最高額を知る事が出来るのです。
この年鑑も複数の出版社より出版されているので詳細は違っている事もあるようです。
※但しこの最高額と実際の評価額とは違ってくるので、あくまでも現状における作家のランクを確認する程度でお考えください。
また有名な作家でも、あえて年鑑に載せない方もいらっしゃいますので全てを網羅しているわけでは無いと思います。
古い年鑑などの評価は現行の物と変わっている場合がありますので、ご注意ください。
3.同じ作家の作品でも大きく評価が異なります。
作家の基準評価が分かりましたら次に確認する事と言ったら、お持ちの作品がその作者の得意としている物や構図(有名になった技法を駆使した作品)なのか、その作品の形状(皿・香炉・花器や徳利などの袋物・人物・他)や大きさ等でも大きく評価が違ってきます。
また、同じ作家が作った物でも年代によって評価が変わってくるので落款や窯印等のサインを見分ける事も重要です。
例として備前焼の巨匠・隠崎隆一氏の作品でご説明致します。
①こちらの作品は徳利ですが、こういった小振りな作品は一度の窯開けで数多く作る事が出来るため、大作に比べ評価額が伸びにくい傾向にあります。
②こちらの作品は大きさもあり数少ない作品の為、①に比べると評価額がぐっと上がります。作家が作品展などに向けて作った物になるとさらに付加価値が追加され、評価額も大きく上がります。また図録などに掲載されている作品(所載物)なども評価が高くなりますので作品と図録は必ず一緒にしておいて下さい。
今回は評価の決め方についてほんの一部ご紹介致しました。この評価方法が全てではなく、作者によっては品物自体がほとんど無くどんな物でも高い評価が付く事もありますので読み物として軽い気持ちでご覧下されば幸いです。
皆様のお宅にもあるかも知れない不要になってしまった焼物等も、ひょっとしたら買った頃より評価が高くなっている物も有ります。これを機会に鑑定などのお問い合わせをしてみてはいかがでしょうか?