編む… 道具を超えた美
暮らしの道具の中で重宝された物に「籠・かご」があります。
今ではプラスチックに取って代わられ、すたれた物も結構ありますが、
現代でも使い勝手の良さから人々に愛され、作られている籠は数々あります。
生活に合わせて変化する籠
籠の材料は竹や木の皮、蔓などの自然素材が使われています。
これは山里に多く自生していたことと、湿気の多い日本の風土に合っていたからでしょう。
山あいの地域と海辺の地域では、生活の違いから用途も異なるため形も変わります。
船上では魚や海草についた水を捌く必要から編み出された形に、
山里では作物がたくさん入れられ、両手が自由に使えるような形に作られました。背負籠などがそうですね。
食品の他に生活道具を入れる籠や部屋に飾る花器、大量の作物を乾すための広口の笊(ざる)などがうまれています。現在でも天日干しの梅干しには欠かせませんね。
生活道具から美術工芸品として発展した籠
時代を経るにつれ編む技術も成熟し、腕の立つ匠が現れ、道具としてではなく鑑賞目的の美術工芸品や調度品が制作されるようになりました。竹工芸の人間国宝が数名いらっしゃいます。
編み目の違いを楽しむ
籠の魅力は、豊富な編み方による編み地の美しさ、また、長年使用した際に現れる艶(つや)や色合いの変化ではないでしょうか。
ゴザ目編み、四ツ目編み、六ツ目編み、網代(あじろ)編み、亀甲編み、乱れ編みなどさまざまな編み方があります。
職人の執念とも思えるような均一な編み目、太さや異素材を使った自由奔放な籠など、さまざま表情を見せてくれます。
幅の違う竹を粗めに編み、その隙間に樹皮を差し込んでいる。制作者の遊び心が感じられる掛花籠。
見立を楽しむ籠
実際の用途だけでなくアレンジを考えてみるのも楽しいですよ。
穴の開いてしまった籠に落としを入れて花を飾ってみませんか?
少しくらい傷みがあっても大切に扱えば愛着もひとしお、エコ精神を満喫です!
茶道で炉に炭をいれるために使う炭籠に、つるバラを飾ってみました。和の籠に洋花を飾るのはミスマッチかと思いますが、籠の魅力でしょうかあまり違和感なく楽しめます。
あこがれの籠バッグ
現在、山葡萄やアケビの蔓で編まれた「籠バッグ」は、生産量も少なく高額ですが、おしゃれな女性達に根強い人気があります。
籠製品は手入れをきちんとすれば百年は持つといわれる優れものです。
使い込まれた色はアンティーク・カラーそのもの。セピアの色調が素敵です。
骨董舎で販売している籠
名もなき民が必要性から編み出した入れ物。
利便性に富んで尚かつ生活に美しさをもたらしてくれた編み物を、ずっと残していきたいと心から思います。
余談ですが…
子供の遊び歌の一つに「かごめかごめ、いついつでやる…」がありますが、
この「かごめ」とは竹を大きめに編んで鶏を入れた釣鐘型の竹籠のことでしょうか? そういえば江戸時代、罪人護送用の唐丸籠なんかも有りましたね。こわ〜っ!
最後までお読みいただきありがとうございます。
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