骨董舎

いにしえの人形「御所人形」

骨董愛好者でも人形は好き嫌いが分かれる分野ですね。
作者や作られた年代や場所はもちろん表情や着物にまでこだわって熱狂的に蒐集される方がいる一方、人間に生き写しになればなるほど苦手という方もいらっしゃいます。
感情移入しやすいからでしょうか?

縄文時代の土偶は人形のはじまり?!

桃の節句は「雛人形」、端午の節句は「武者人形」と子供の成長に人形を飾り祝う風習は江戸期に盛んとなり今日まで続いています。
日本人の人形に対する愛着心は他国にあまり例をみないほど盛んで、年中行事にまで発展しました。
「人形」は昔、「ひとがた」と読まれ「形代・かたしろ」にも通じます。
人の形をした最古の作り物は、縄文時代に作られた「土偶」でしょう。
宇宙人のような姿は驚くほどユニークで、我々のご先祖様は非常に自由な芸術心を持っていたと知れて嬉しい限りです。
なんと言っても国宝にまでなっていますからね。

やがて、素材は土から紙や木などに変わりました。
人形は人間に降りかかる災難や穢れを人の形の人形に移し、清浄な川に流し厄逃れとしました。また、呪詛にも用いられましたが、のちに生活が安定してくると子供達の愛玩用として作られるようになりました。

御所人形のはじまり

人形の初期は貴族や身分の高い生活の安定していた公家達の遊具でした。
後に「御所人形」と呼ばれる高貴な人形がうまれました。
「御所人形」とは、幼児の裸人形で大きな頭に小さな目鼻立ち、三頭身で丸々と太り、肌は胡粉(ごふん)を何度も塗り重ね、お公家さんの顔のような白さが特徴です。
腹掛けの子、烏帽子や頭巾をかぶった子、能衣裳の子等、気品もあり、子供のあどけなさもよく表現されています。能衣装を着せた大作りのものを「能人形」とも呼びました。
大きさは、1cm位の極小のサイズから幼児(1、2歳から5、6歳くらいまで)の等身大まで作られました。その中でも小型で赤ちゃんが這った姿を模した人形を「はいはい」と呼び、出産祝いや道中の災難祓いに用いられ、犬筥(いぬばこ)たちと一緒に雛壇にも飾りました。

「御所人形」の広まりは御所方が諸大名への返礼品として下賜に用いたのがきっかけで全国に持ち帰られ知られるようになりました。
また、北前船が盛んになると大波、小波に揺さぶられながら全国津々浦々に運ばれ見知らぬ土地で大事に飾られました。さぞかし、大人から子供までが喜び迎え入れたでしょう。
「御所人形」は京都産の代表的な人形で、江戸では「お土産(みやげ)人形」、御所から賜るので、「拝領人形」、または「頭大(ずだい)人形」、「白肉(しらじし)人形」、「三つ割人形」、「大内人形」、大坂の人形店で宮中の御用達商人「伊豆蔵(いずくら)喜兵衛」が納入したところから「伊豆蔵人形」とも呼ばれました。

意匠としての御所人形

「御所人形」の愛らしさは着物や帯、扇、絵、掛軸などの図柄として多く取り上げられました。

骨董舎店内で販売中の名古屋帯にも御所人形の図柄のものがあります。

古い御所人形は数が少ないので滅多にお目にかかれません。もし、あなたが出会えたら大切にしてくださいね。

#骨董舎のお留守番でした。

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