スタッフダイアリー

遊びの流儀〜遊楽図の系譜

こんにちは!
先日、六本木のサントリー美術館で開催中の「遊びの流儀〜遊楽図の系譜」を見て来ました。館内はそれほど混雑しておらず、ゆっくりと作品の世界に浸れました。会期は8月18日まで。

人々の「遊び」に注目し、実際の道具と、遊楽図から紐解きます

下記のように展示が分かれており、人々が楽しむ様子を描いた遊楽図の屏風や絵巻物などを中心に展示されていました。加えて蹴鞠(けまり)・鞠挟み(まりはさみ)、貝合わせ、雀小弓、天正かるた、うんすんかるたなどのあまり目にすることのない遊戯品なども多数展示されていました。

第1章「月次風俗図」の世界〜暮らしの中の遊び

第2章遊戯の源流〜五感で楽しむ雅な遊び

第3章※琴棋書画(きんきしょが)の伝統〜君子のたしなみ

第4章「遊楽図の系譜」①〜「邸内遊楽図」の諸様相

第5章「遊楽図の系譜」②〜野外遊楽と祭礼行事

第6章双六をめぐる文化史〜西洋双六盤・盤双六・絵双六

第7章カルタ遊びの変遷〜うんすんカルタから花札まで

第8章「遊楽図の系譜」③〜舞踊・ファッションを中心に

※琴棋書画(きんきしょが)とは、琴・囲碁・書道・絵画の4つを題材にして描かれた書画のこと。中国においては琴・囲碁・書道・絵画が君子のたしなみとされ、昔から書画の題材にもなっています。日本もその影響をうけており、遊楽図にも琴棋書画の要素を盛り込んだ作品が見られます。

現代にも通じる先人達の楽しみ

昔の人々は、何を遊びとしていたのでしょう。作品を見ていると酒宴をひらき、琴や琵琶を奏でたり、三味線や笛の音色で輪舞したり、囲碁を打つ武士などがよく登場してきます。また、トランプのようなカード遊びに興じる男女、競馬や通矢を見物する人々など、心の底から楽しみ、日頃の憂さを発散させる生き生きとした姿が描かれています。
江戸時代に盛ん描かれた遊楽図は、それを飾ることで、実際には見られないけど行った気になって疑似体験できるような意味合いも持っていたようです。
あこがれの生活をする人のInstagramを見て楽しむ現代にも、通ずるものがあるように思います。今回たくさんの屏風や絵巻物を見ましたが、何百年も前の事なのに、現代とそれほど変わっていないかな?!と身近に思えて興味深く鑑賞できました。
また、たくさんの人々が、男女の髪型、着物の柄、印籠など提物まで細やかに描かれているので、そこに注目して鑑賞するのもおすすめです。

屏風の金雲はどんな意味があるのでしょうか?


屏風や巻物を見ていると金色や銀色の雲や霞が描かれていますが、どのような意味があるかご存じですか?
「遊びの流儀〜遊楽図の系譜」の展示品の屏風にもかなりの割合で金雲がありました。金箔が貼ってあるもの、金箔のまわりに金箔を細かくした砂子(すなご)や、金粉をまいてより幻想的な金雲を表現するなどさまざまな技法で描かれています。金雲や霞は、構図が複雑になるのを防ぐため、省略する部分に使用されたり、絵巻物などには、場面が変わる場合に、ここからは違う内容の絵だとわかるように使われたようです。
大和絵の特徴的な描き方で、狩野派の作品によく見られます。

関連記事一覧