スタッフダイアリー

白磁への憧れから生まれた、マイセンの魅力

ドイツの名窯「マイセン」の誕生

17世紀ごろの西洋社会では、中国や日本で開発された白磁が憧れの芸術品として注目を浴びていました。
当時のヨーロッパには、独特な質感を持つ白磁の製法は存在しておらず、各国の貴族や事業家達がその製造開発に名乗りを上げました。
その中でも、ザクセン選帝侯及びポーランド王であったアウグスト強王は、錬金術師ヨハン・フリードリッヒ・ベドガーを幽閉して磁器を作るよう命じました。ベドガーは様々な学者の協力を得て、1709年にはカオリンを原料とした白磁の製造に成功しました。こうして、今からおよそ300年前、ドイツの名窯と名高い硬質磁器窯「マイセン」がドイツ東部の地域、マイセンに誕生したのです。

マイセンフィギュアの美

マイセンと言えば食器というイメージが強いですが、フィギュアも非常に根強い人気を誇るジャンルの一つです。マイセンフィギュアの魅力として挙げられるのは、やはり人物の造形です。
まるでその場面を写真にでも収めたかのような、柔らかく人間味溢れる表情や動きは、目を離した隙にこっそり動き出しそうなほどにリアルで精巧な作りになっています。
また、人物の指先から植物の葉に至るまで、作品一つ一つに施された緻密な細工と、淡く繊細ですが地の色と調和した特徴的な色彩は、見る者を魅了する存在感があります。

 

ロバとロバの背中に乗る人、その周りには男性と女性が1人ずつ、そしてロバの尻尾で戯れる子供。女性は葡萄の蔦をロバに食べさせ、男性2人は頭に葡萄の冠を被っています。
マイセンの地域はワイン作りが盛んで、作品に葡萄が登場することが多々あるようです。

高さ:21cm

 

地を耕す子供。天使のような可愛らしい風貌ですが、凛とした表情でしっかりと地面を見据えてスコップを差す姿は、まるでこの地の豊穣を約束しているかのようです。

高さ:12.3cm

 

1人の少年は右手に硬貨を、もう1人の少年は背中に荷物を背負っています。
詳細は不明ですが、硬貨を持っている少年の足元には秤のようなものがあるので、荷物を背負った少年は行商人で、もう1人の少年はその品を買っている、という場面なのでしょうか。

高さ:14cm

 

2人の子供とその間に横たわる動物。よく見ると子供がその動物の頭を持っています。
どのような経緯でこの状況になったのか、どうにもわかりませんが、愛らしい子供の姿に相反するグロテスクな情景は生きることの厳しさを示しているようにも感じられます。

高さ: 14.5cm

 

雛鳥に餌を与える天使。現在倉賀野店にて販売しているマイセンフィギュアの中でも群を抜いて大きく、40cmほどの高さがあります。
大きいながらも作りはとても繊細で、天使の優しい表情もより鮮明に表現されています。

 

マイセン窯の印「双剣」

1722年、マイセンの窯印としてアウグスト強王の紋章である双剣が採用されました。以降、マイセン窯の作品には、シュヴェルターという窯印専門の絵付師によって双剣の窯印が記されるようになりました。
長い歳月を経ながら、窯印も徐々に変化を遂げました。刃が湾曲していったり、剣の交差する位置がわずかに違ったり、剣以外に点や線、星印などが足されたり…。
窯印は年代によって変移しているため、どの作品がいつ頃製作されたものかという判断基準の一つとされています。

    

剣の柄の端部分に短い線が付けられているものがおおよそ1820年以降、また、剣の下に星印があるものは、1700年代後半に作られたものとされています。

マイセン窯の品を見る際には、是非窯印にも注目してみてください。
フィギュアの造形と合わせて見比べてみると面白いですよ。

今回紹介したフィギュアは骨董会館倉賀野店にて展示・販売しております。

◎骨董会館 倉賀野店 
HP http://antiques-store.com/kuragano
群馬県高崎市倉賀野町2466-1
営業時間 10:00〜18:00 火曜定休
電話 080-7933-1122
Mail kottokaikan@shunet.co.jp

関連記事一覧