食物・財福の神 大黒天
冬至が過ぎ、早いもので新しい年まであと一週間ほどとなりました。
新年から良いスタートを切るために、何かご利益がある骨董品を見てみたいですよね。
そこで今回は、日本で強く信仰されている七福神の1人、大黒天に注目してみましょう。
大黒天の始まり
大黒天の始まりは、インドやネパールにおいて多数派を占める民族宗教、ヒンドゥー教からと言われています。破壊と再生を司る神、シヴァにはマハーカーラという異名があり、「マハー」=大(偉大なる)、「カーラ」=時、黒(暗黒)を意味するため、密教の伝来と共にシヴァ神が日本に伝えられた際に「大黒天」と名付けられたようです。
神道の神である大国主と大黒天の”大国”、”大黒”が共に「だいこく」と読めることから、2人の神が混合し、当初は破壊と豊穣の神として信仰されていました。のちに豊穣の面だけが残り、食物・財福を司る神へと変わっていったようです。
その変化に伴って、室町時代には笑顔の表情となり、江戸時代には米俵に乗るようになるなど、容姿も変化していきました。
上記の2点は鎌倉時代頃の木彫大黒天像。
怒りとはいかないまでも、少し険しい表情をしているのがわかります。
江戸〜明治の彫刻家、高村光雲の作品です。
米俵に乗り、右手に小槌を持つ姿は現代でも馴染みがありますね。
表情も少し柔らかくなっているように見えます。
こちらは昭和頃に活躍した彫刻家・石橋古鈴の作品です。
表情はとても柔和で、見ているこちらも思わず笑顔になってしまいそうですね。
新年に向けて…
日本神話の中で、スサノオノミコトが大国主を陥れて焼き殺そうとする場面があります。
そこに一匹のねずみが現れ、大国主に退路を教えて助けたのです。
そのことから、ねずみは大国主(大黒天)の使いであると伝えられたそうです。
来年、2020年の干支はねずみです。
ねずみの置物と一緒に、今回ご紹介した大黒天の置物も飾れば、もしかしたらいつもより多くご利益を授かることができるかもしれませんね!
◎骨董会館 倉賀野店
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