刀剣の買取・査定について
近年、お客さまより「刀剣の整理をしたい」というお話しを頂く事がございます。以前、刀剣の買取・整理させて頂いたときのケースとして、先代様が集めた品物なのですが残されても手入れ方法も分からず、そのまま保管し続けた結果、刀身を錆びさせてしまい価値が低くなってしまった事がございました。
刀剣はデリケートな品物なので、しっかりとした手入れや保存方法等を怠たると、せっかく価値が高かった刀剣も下がってしまいます。売却を検討されている方ならば、ぜひ刀身を痛める前にご相談いただくことをおすすめいたします。
刀剣の長さで種類が分かれます。
今回、骨董業者が買取査定時に刀剣を評価するポイントをご紹介致します。
刀剣の種類は長さによって大きく3種類に分類されます。
1、大刀(60cm以上)
2、脇差(30cm以上〜60cm未満)
3、短刀(30cm未満)
※(厳密に言うと様々な呼び名もありますが、今回は分かり易くシンプルに紹介いたします。)
評価をする時にこのサイズも重要で、やはり大刀(60cm以上)が一番評価しやすいです。次に短刀(30cm未満)が評価が高いとされています。最後に脇差(30cm以上〜60cm未満)が一番低いとされていますが、これはあくまでサイズのみの評価ととらえて頂きたいです。
刀工の銘も重要です
刀身を製作した作者がわかる場合の付加価値です。
刀身先端部分の反対側である茎(なかご:刀を握る部分)に銘が入っている場合は、その作者のランクを調べ評価に足されます。但し、この銘が必ずしも正しいとは限りません。評価が高い刀工ほど似せて入れた偽物の銘が入っている事が多数ありますので、お持ちの刀をご覧になって銘が入っていても期待しすぎは禁物ですね。
作者がしっかりと特定する為に(公益財団法人 日本美術刀剣保存協会)に鑑定を出し、本物と認められた場合は鑑定書が発行されます。刀剣の評価を決める点でも鑑定書の有無で評価が変わります。
刀の状態を確認してみてください。
次に「刀身がどういった状態なのか?」という点でも大きく評価が左右します。例えばどんなに良い刀工が生み出した作品であっても、現代の状態が悪く美術刀剣として見るに堪えられない物になっていれば意味がありません。
刀剣の状態の簡単な確認方法をご紹介致します。
1、刀の肌の状態を確認してみてください。
湿気で錆が出ていたり、刀油によって油焼(酸化による錆)をおこし、表面の肌が傷んでしまったりします。
また、研師の真似をし、紙ヤスリや機械を使って刀身を磨いてしまったケースもございました。どんなに錆びていても素人がいじってしまうと刀自身の形が変わってしまいダメになってしまうのでやめた方が賢明です。
2、刀身の刃部分に欠けやヒビが入っていないか
皆さんもいわゆる刀を想像したときに刃文(はもん)がという言葉を耳にすると思います。刃文とは、刀を印象づける波状の模様のことで直刃(すぐは)、互の目(ぐのめ)などたくさんの種類があり、一般的にはその霞がかかったような景色が見所と言われています。
しかし、刀剣の見所というのは、実はこの刃文では無く刃文の中にうっすら見える本当の刃を鑑賞する事が大切なのです。刀によっては余りに研ぎすぎてしまって刃が無くなってしまっている物(匂い切れ)や、刀剣が曲がった折に刃が割れてしまう刃切れというヒビが入ってしまっていると、刀として成立していないと判断されて評価がかなり下がってしまう場合がございます。
刀身だけでなく拵え(こしらえ)も重要です
また、刀身の評価もございますが、外装と言われる鞘の部分についている金具(鐔・目貫・縁頭・小柄・笄)や鞘部分に施されている技術の高さや作者によっても評価が左右する場合もございますので、もし鞘が痛んでしまっていても刀身と分けないでしっかりと保存しておく事をおすすめ致します。
鐔(つば) 小柄(こづか) 目貫(めぬき) 縁頭(ふちがしら) 小尻(こじり)
今回、刀剣評価における基準値を簡単にご紹介させて頂きました、ご不明な点がございましたらご一報いただければ詳しいお話しをさせて頂きますので、お気軽にご相談くださいませ。