かごの傍らに腰を下ろし、静かに微笑む翁の姿をかたどった、味わい深い根付です。
優しげな表情や柔らかな衣の流れ、細やかに彫り込まれた籠の描写など、
細部にまで丁寧な仕事が光ります。
飴色に変化した素材の風合いは、長い年月を経たことによる自然な艶と深みを感じさせ、
手に取るほどに魅力が増していきます。
どこか懐かしさと温かみを感じさせる、親しみのある一作。
日常の一瞬を切り取ったような表現に、見る人それぞれの物語が重なることでしょう。