古美術名品『集』45号
特集1 岩崎彌太郎と三菱の壮麗なる文化遺産
44号の「龍馬」特集の続編として「岩崎彌太郎」を取り上げました。第一部では、土佐の地下浪人という貧しい生活から這い上がり、「日本の海運王」と呼ばれるに至った彌太郎の不撓不屈の生涯を追いました。第二部では、今春、東京丸の内に復元された「三菱一号館美術館」、二代目彌之助と四代目小彌太の一大コレクションを誇る「静嘉堂文庫美術館」の展覧会情報、三代目久彌が設立した「東洋文庫」の浮世絵作品と久彌の邸宅だった「旧岩崎邸庭園」など、三菱四代が残した壮麗なる文化遺産を紹介しています。
特集2 彌太郎も学んだ近江商人の歴史と商魂
天秤棒一本で全国各地を行商し、江戸時代に一世を風靡した近江商人の歴史とその商業哲学を追いました。古代における近江地方への渡来人の動向や戦国時代の近江出身の武将、蒲生氏郷と石田三成の経済観念にも触れながら、近江商人の商売方法・家訓などを紹介し、さらに近江商人の精神を学んだと思われる岩崎彌太郎の、経営理念や実業家としての高い志について述べました。
特集3 上州群馬、歴史と観光
上州群馬は多数の古墳と土偶や埴輪、土器、刀剣などの出土で知られています。また鎌倉幕府を滅亡に追い込んだ新田義貞の出生地でもあり、さらに現在の太田市世良田は徳川氏発祥の地とされています。第一部では、古代から近世までの歴史を追い、江戸時代の群馬県にあった「高崎藩」「前橋藩」「館林藩」など九つの藩の歴史と甲冑をはじめ「上州鉢」と呼ばれる兜鉢、「右京拵」と呼ばれる独特の刀の拵などを紹介しています。第二部は「骨董湯めぐりの旅」と題し、ベルツ博士によって世界的に著名となった「草津温泉」にスポットを当てるとともに、県内の骨董店や博物館、味処などを多数紹介、『集』ならではの観光ガイドとなっています。
発行日 2010年8月
ISBN978-4-921031-45-9