吉田三郎 ブロンズ 聖観世音菩薩立像Sold Out
付属品の左手の蓮の華が見つかったので、あらためてもう一度ご紹介させていただきます。
吉田三郎は明治22年(1889)、石川県金沢市出身の彫刻家。石川県立工業高等学校の窯業科製陶部時代には板谷波山、青木外吉に学びました。その後、東京美術学校(現東京藝術大学)彫塑科を卒業。昭和6年には文部省の命により古代彫刻研究のため、フランス、イタリア、北米へと留学しました。昭和10年、多摩帝国美術学校(現多摩美大)教授に就任。25年には日展出品作の「男立像」で芸術院賞を受賞しました。昭和37年(1962)没。享年72歳。
写実を貫き、ロダンなど西洋彫刻の影響も受けつつも、東洋的な静寂をたたえる名作を数多く制作しています。上野の森に建つ野口英世の像は吉田三郎の作品です。
本作は昭和15年夏に制作された作品です。昭和15年(西暦1940年)は、皇紀2600年(紀元2600年)にあたり、大きな祝典が催され、0年を記念して「零戦」と称される戦闘機が完成した年です。戦時色がいっそう色濃くなり、マッチや米などが配給制となり、7月には「7・7ぜいたく禁止令」が出され、「ぜいたくは敵だ」のスローガンのもと「ぜいたく監視隊」も登場しました。その後は昭和20年に終戦を迎えるまで、泥沼の戦争が続きます。お寺の鐘などの金属類の拠出が求められるような時代、吉田三郎がどのような思いでこの観音像を制作し、「昭和15年夏」と制作年を箱に墨書したのか。不穏な世情を愁い、平和を願う彫刻家の思いが伝わってきます。
2012年には石川県立美術館で没後50年を記念する「吉田三郎展」が開催されました。石川県立美術館は吉田三郎の作品を多く所蔵しています。
〈石川県立美術館:所蔵品データベース〉
http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/syozou/sakuhin_list_sakka.php?Id=1330
〈石川県立工業高等学校:ギャラリー雪章〉
http://www.ishikawa-c.ed.jp/~kenkoh/gallery/
サイズ:高さ51×幅15.2×奥行15.4cm
時 代:昭和15年夏
銘有無:背面の蓮華座に「吉田三郎作」とあり
箱に「昭和十五年夏 吉田三郎作」とあり
箱有無:共箱
その他の画像をブログに掲載しましたので、こちらもどうぞご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/shu_shuppan/16021587.html
http://blogs.yahoo.co.jp/shu_shuppan/16021596.html