愛国心が込められたガラス工芸 ドーム・ナンシー
フランスが生んだガラス工芸家兄弟
フランスに生まれたドーム兄弟は、1800年代後半から1900年代前半にかけてガラス工芸家として活躍しました。
兄のオーギュストと弟のアントナンは、父親が経営するガラス工場で仕事の手伝いをしながら博覧会に作品を出品し、数々の賞を受賞しました。
ドーム兄弟が育った街、ナンシーはアール・ヌーヴォーの様式が最も構成されていた芸術の街です。
同じくガラス工芸家として名を馳せたエミール・ガレも、ナンシーの発展のために作品を作り続けました。
ドーム兄弟の作品たち
ロレーヌ地方、ビチュに生まれたドーム兄弟は普仏戦争を経てドイツ帝国の支配から逃れるためナンシーへと移動しました。領土の一部を占領されてしまったロレーヌ地方では、「独立」の花言葉を持つアザミを愛国心の象徴として大事にしていました。そのため、ドーム兄弟の作品にはアザミをモチーフにした作品が数多く残されているそうです。
また、この複十字はロレーヌ十字と呼ばれ、元々はジャンヌ・ダルクの象徴とみなされていました。その歴史的観点から、占領された領土を取り返そうというフランス国民の思いと愛国心の象徴となる意味合いが込められるようになりました。
一目見ると小さくシンプルな花器ですが、当時の歴史を紐解くとモチーフになったものやマークに意味や思いが込められているものもあるのですね。
色々手に取ってみて、楽しんでみましょう!
◎骨董会館 倉賀野店
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