古美術名品『集』27号
特集1 銃をヒントに始まる新技術 鉄砲の進化
関ヶ原の合戦に勝利した徳川家康が江戸に幕府を開いた後、日本は300年にも渡って「天下泰平」の世の中が続きます。しかし鉄砲は廃れるどころか、600を超える砲術流派が生まれ、それぞれが独自の工夫を凝らした連発銃などを開発しました。火打ち石を利用した鉄砲も開発され、その仕組みから携帯用の現在のライターも誕生しました。
四国の讃岐(香川県)生まれの久米通賢は、ゼンマイの力で回転する鋼輪に火打ち石をこすりつけるタイプの銃を製造したり、雷汞と呼ばれる癇癪玉のような火薬もつくり、それを利用した銃やマッチも開発しました。また、測量や塩田開発にも大きな足跡を残した江戸時代の偉大な発明家・科学者でした。
特集2 銃をヒントに始まる新技術 科学と機関の進化
火縄銃とほぼ同時期に西洋からもたらされた機械時計は、江戸時代に日本独自の和時計へと進化します。その製造技術や機構、ゼンマイを利用して、江戸時代には「江戸ロボット」ともいえるユニークなカラクリ人形が多数考案され、興行によって人々を楽しませました。また、オランダから伝来した空気銃の気圧を利用する仕組みは、無尽燈やねずみ短檠といった灯火具や筆ペンなどにも応用され、さまざまな生活便利グッズに生まれ変わりました。
発行日 2005年12月
ISBN4-921031-27-4